課題設定とは?
「課題設定ってよく耳にしますがそもそも問題と課題の違いが良く分かりません。課題設定について教えてもらえないでしょうか?」
こんな疑問にお答えします。
本記事の内容
- 問題と課題の違い
- 課題と課題設定の違い
- 課題設定の理解
本記事の信頼性
専門学校卒業後、私は小さなIT会社に入りました。その後、転職を2回行い現在の一部上場企業へ入社しました。一般職層からキャリアアップを行い、研究開発部門の部長という役割を担っています。ここまでキャリアアップ出来たのも課題設定を活用しているからです。
課題設定を活用できるようにするためには、課題設定を理解する必要があります。「問題」と「課題」の2つの意味と違いから理解を進めて行く必要があります。
問題と課題の違い
言葉の意味で「問題」と「課題」の違いを確認する
課題設定を理解するには、問題と課題の違いを理解するところから入る必要があります。まずはいつものように言葉の理解から進めていきます。
もん‐だい【問題】
①問いかけて答えさせる題。解答を要する問い。「試験―」
②研究・論議して解決すべき事柄。「―提起」「人口―」
③争論の材料となる事件。面倒な事件。「また金銭の事で―を起こした」
④人々の注目を集めている(集めてしかるべき)こと。「これが―の文書だ」
か‐だい【課題】
題、また問題を課すること。また、課せられた題・問題。「今後に残された―」
か・する【課する】
〔他サ変〕[文]課す(サ変)
仕事や税などを負わせる。負担させる。賦課する。孔雀楼筆記「僮僕を―・して稼穡かしょくをつとめしむ」。「重税を―・する」「宿題を―・する」
出典)広辞苑
言葉を確認してもよく分かりませんよね。「問題」という言葉の意味はみなさんご想像のとおりだったのではないでしょうか。一方で課題の意味を確認すると「課せられた問題」となっています。「課せられた」という意味についても調べてみましたが「仕事や税などを負わせる。負担させる。」と定義されています。これを繋ぐと「問いかけて答えさせる題を負わせる」「研究・論議して解決すべき事柄を負わせる」といった意味という事になります。
広辞苑の意味をつなげてもやはり分かりにくいのですが、ビジネスで使用するときには「問題」と「課題」には明確な違いがあります。前回の俯瞰の記事で使用した体重を例に、「問題」と「課題」の違いを確認していきます。
事象を使って「問題」と「課題」の違いを確認する
体重を例に使って、問題と課題の違いを説明します。まずは下のグラフをご覧ください。
グラフの例では、現在の体重は65キロで、理想の体重はそこから14年遡った60キロとなっています。この例の現在からダイエットを行うとした場合、14年前の理想の体重を目標に設定したとします。すると、目標体重60キロに対して、現在の体重が65キロとなっていることが分かります。数字だけで見ると65キロー60キロ=5キロのギャップがあることが分かります。この現在と目標のギャップが「問題」なのです。この「問題」を起こした背景には、「歳をとるごとに代謝が悪くなりカロリー消費が低下する」、「仕事が忙しくなり就寝前の飲食の頻度が増える」、「運動不足」、などがあげられますが、これは過去と比較したときにわかる問題を引き起こした事象です。
では、この問題を解決するためにはどうすれば良いでしょうか?まずは状況を整理してみます。
- 目標:体重を理想体重の60キロにする
- 現状:65キロの体重
- 問題:現状と目標のギャップの5キロ
先ほど説明した通り、現状と目標のギャップが問題という事が分かりました。次に「課題」ですが、「課題」というのはこの「問題」のギャップを埋めるためのアクションに繋がる前向きな取り組みと考えれば良いです。上のケースで説明すると、「現状と目標のギャップの5キロ」これを埋める、5キロ落とすためのアクションに繋がる前向きな取り組みが課題というわけです。つまり、問題を解決するための施策が課題というわけです。
課題設定って一体何なの?
問題と課題の違いが理解できれば、ビジネスでよく聞く「課題設定」も理解できると思います。課題設定とは、抽出した課題に対する具体的なアクションプランを設定することです。アクションプランには色々な施策を組み合わせて取り入れることで問題解決に繋がります。先ほどの体重を例に課題設定していきます。
- 目標:体重を理想体重の60キロにする
- 現状:65キロの体重
- 問題:現状と目標のギャップの5キロ
先に述べましたが、「歳をとるごとに代謝が悪くなりカロリー消費が低下する」、「仕事が忙しくなり就寝前の飲食の頻度が増える」、「運動不足」といったことが原因で体重が年々右肩上がりになっている。これらの問題点を分析した結果、前向きな取り組みとして課題と課題設定を整理すると、次のように展開することができます。
課題と課題設定
課題 |
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課題設定 |
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課題はある程度抽象的に定義しておくことで、課題設定で具体的なアクションを設定する際に対策プランに幅が出てきます。課題を定義して幅を持たせ、分析を進めてさらに具体的なアクションプランへ落とし込むのが課題設定です。事例をもとに説明すると、基礎代謝をあげたければ具体的なアクションとしては筋肉量を増やす必要があるので、日々の筋トレへの展開を行う。就寝前の飲食を減らすためにできるだけ仕事を早く切り上げる、そのために計画立った行動に落とし込んで残業を減らしていく。運動不足を解消するために、筋トレとは別に日々の通勤時間を活用して有酸素運動も取り入れるといった課題設定まで展開することが出来ました。
今回は例として体重を使用して説明しましたが、問題から課題を抽出してアクションプランへ展開する。これが課題設定です。
まとめ
今回ご紹介した内容で問題と課題の違いが分かり、課題設定の理解が進んだのではないでしょうか。課題設定というのはアクションを起こすために必要となる具体的な展開の上位概念となりますので、重要だということが分かりますね。物事を進めていくにあたり、問題解決やビジョンの実現、戦略立案などこのスキルを使う機会は沢山あります。しっかりと使いこなせるように日々積極的に活用して課題設定力を鍛えていってください。
今回は以上です。