コラム

課題設定力の重要性

課題設定力の概要

課題設定とは?」の記事でも書いた課題設定力、今回はこちらが何に役立つのかを解説していきます。

私の専門はソフトウェア開発ですが、私は係長に昇進する前までは、計画力、実行力、問題解決力を使って多くのプロジェクトを成功させていました。それもあって、この3つのスキルがあれば自分はこの先も成果を出し続ける事が出来ると考えていました。しかし、係長に昇進してあるきっかけで課題設定力のすごさを知ることになりました。

「現在発生している問題」に対する対処については多くの人がご存じかと思います。この対処は、原因を突き止めて対策を打つことで解決できますよね。一方で、課題設定というのは現状とあるべき姿のギャップを埋めるために講じるゴールとアクションプランに展開することです。この能力を必要な時に使うことができるようになると、過去の問題解決だけではなく、ゴールまでたどり着くための具体的な計画に展開することが出来るようになるという事です。つまり、見えなかった未来を描くことが出来るようになります。
課題設定力は、初級マネージャーには必ず必要になるスキルで、ビジネス以外にも活用できる応用力を兼ね備えた柔軟性の高いスキルと言えます。

 

なぜ課題設定力は重要なのか?

私が社会人として課題設定力が重要だと考え始めたのは係長に昇進したときでした。

それまでは自分のタスクは基本的には単年度で上司の考えている方向性とゴールを確認してタスクに展開して作業に落とし込んでいく形で仕事を進めていました。しかし、実際に部下を持ち「部下の教育計画」を検討したり、他部門と連携するような大規模プロジェクトを抱えて単年度ではゴールまでたどり着かない仕事に関わるようになり始めました。

教育計画やプロジェクトの計画展開を行う際に上司から、「ゴールも考えてみて」と言われるようになって初めて「ハッ!」としました。
この時、課題設定力というものを知らなかった私は、部下の育成と言っても3年後にどうなっていて欲しいのだろうか?とか、大規模なプロジェクトに関してはゴールはわかるものの、そこにもっていくまでのアクションをどうすれば良いのか?など疑問が山のように出てきました。そこで気づいたのが、それまでゴールも自分で決めていたと思っていただけで上司にフォローされていたという事でした。

このように、初級マネージャーになると部下の育成や大規模プロジェクトへの参画など、いわゆる平社員とは仕事の規模が変わってきます。現在や過去へのアクションに重きを置く視点から未来へのアクションへの視点に切り替えていく時期となりますが、この時期には「課題設定力」が重要になってくるという事です。

 

課題設定力による効果

課題設定力による効果を、私が係長昇進当時に困った部下育成を事例に解説していきたいと思います。
これまでの説明で何度も出てきましたが、課題設定は現状とあるべき姿のギャップに対するアクションです。課題設定力を使うと今から取り組む未来に対してのゴールと実行していくアクションが設定できます。つまり、未来に向けた作業がゴールとともに展開できるというわけです。

係長になる前の私のタスクの展開というのは、上司がゴールを何となく示してくれていたため、その何となく示してくれているものを打ち合わせなどで明確にしてから作業展開していくようなスタイルでした。しかし、部下の育成計画の展開の際には上司からはゴールが設定されなかったため、何をどこまで教育すれば教育計画が仕上がり、部下の育成が完了できるのかといったことが全く思いつかなかったのです。当時の私は課題設定の手法も理解していなかったので、このような状況に陥ったというわけです。

ゴールが分からない状況では、以下のような困りごとが出てきてしまい、結果として1人で教育計画を作成することはできなかったのです。

  • 教育期間が決めれない。
  • 部下のスキルを全て把握しているわけでは無いので、具体的な教育カリキュラムと範囲が決めれない。
  • 教育が終了したときにどういったスキルを身に着けて欲しいのか決めれない。
  • 実務に結びつく教育が計画展開できているかわからない。

結局この後、ゴールイメージについて上司と相談をして教育計画は完成したのですが、この時上司と話をした内容は「3年後に部下にどうなっていて欲しいか?その時に具体的な実務はどんなことが出来るようになっていて欲しいかを考えて現時点まで遡ってマイルストンを年度ごとに置いていくと良い。」という話でした。まさにこれが課題設定との初めての出会いで、上司からの助言もあり、ゴールを設定することで上記の困りごとが全て解消したのです。

 

まとめ

このように課題設定力は現状とのギャップのあるべき姿がゴールになり、このゴールから現在のギャップを遡ってトップダウンでアクションプランを考えることになります。その結果、ゴールを目指して具体的な作業が展開できるので、ゴールを実現するための具体的なアクションがブレにくくなるという特徴があります。ゴールに向かってアクションプランを展開していく際に具体的な施策が設定できるようになるという事です。

上司からゴールを設定してもらえるのも初級マネージャーになる前くらいなのでおそらく30代前半~35歳くらいまでには身に着けておきたいスキルの一つです。

課題設定力を使い続ける事でトップダウン思考も醸成されていきます。俯瞰力やロジカルシンキングなどの能力と組み合わせて活用することでより正確なゴール設定とアクションへの展開が可能になります。初級マネージャーになった時にはこれらのスキル向上を図っていくとさらに良いでしょう。

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